旅に出よう、まだ見ぬセカイを求めて

気の向くままに本の感想とイベント日記

陸と千星~世界を配る少年と別荘の少女

──あらすじ ──

両親の離婚話に立ちすくむ千星。明るく笑ってみせることで、壊れそうな家の空気を辛うじて保ってきた。けれど本当は、三人で一緒にいたいと、素直に泣ければよかったのだろうか…。新聞配達のアルバイトを続ける陸。母は家を空けたまま帰らず、生活のために必要だった。ただ絵を描いていたい、そんな願いも叶わない。それを恨んでも憎んでもいないけれど、今まで自分は笑ったことなどあったのだろうか―。そんな二人が、出会う。切なく繊細な一夏の物語。

 

単巻。いい青春ものでした。

麦わら帽子が舞い上がって木の枝に引っかかりお礼を言えなかったことから始まる。

二人でやり取りされる言葉の多くは感謝の言葉「ありがとうございます」。一言二言しか会話していないが、互いに思っていることはある。しかし想像とは違っていて、この二人は考えが似ていてとても合っているなと思いました。届かない手紙、出せない手紙を書いていますがふとした拍子にこの手紙が渡って相手の気持ちがわかるのも面白そうですね。

4章からのある場面を見かけてからの展開はとても引き込まれたし、読んでてちょっと辛くなってきました。やはり想いは閉じ込めておくべきではなく、伝えることが大切だと思いました。

二人が再会し、また絵を描くことがあることを願います──